生徒指導

2016年01月29日

携帯電話を没収するときに気をつけるべき二つのこと

今日、生徒から携帯電話を没収する夢を見ました。

正直寝た気がしません……。笑


僕の学校は携帯電話禁止なので、

生徒が持っていたら没収することになります。

こういう「生徒指導」的な仕事は正直すごく気が滅入るのですが

 (特に自分が受け持っていない学年だと尚更)

やるしかないだろ、と思ってやってます。


携帯電話を没収するときに気をつけることは二つあります。

一つは、個人情報の問題です。

そのまま取り上げると、個人情報が漏れるのでは、と心配する生徒がいます。

ルールを破ったのはそっちなんだから、そんな心配をさせるのも一つのお灸だ、

という考え方もあるのかもしれませんが、その後ろには保護者がいます。

そのあたりを雑にするとこちらの「粗」になってしまい、噛み付きやすくなります。

それには、まず当該生徒にきちんと確認させることが大切です。

①電源を切った状態で教員に渡す。

②スマホであれば、パスワードでロックがかかっているかを確認する。

③スマホでなければ、電池パックを抜いて生徒に渡しておく。

④携帯の中を見ることはない旨をきちんと伝える。

生徒が「これなら大丈夫かな」と納得すれば問題にはなりません。


もう一つは金銭と安全の問題です。

携帯電話(特にスマートフォン)には維持費がかかります。

使おうが、使うまいが、最低限かかるお金は同じです。

教員が没収している間の料金を日割りで請求してくる親がいる(!)

なんて話もテレビで見たことがあります。

テレビなので本当かは分かりませんが、

そうしたいと思っている保護者はいるでしょうね。

そしてもう一つは、誰が携帯電話を持たせているか、です。

本人が勝手に持って来ているなら問題がないのですが、

保護者がどこかで待ち合わせるためだったり、

「お守り」代わりに持たせていることもあります。

携帯を没収すると、保護者と生徒との間に空白の時間が生まれます。

その間に何か起こると、こちらにも責任の一端が飛び火することも考えられます。


これらを解決する方法はいたってシンプル。

それは、生徒にその場で親に電話をかけさせて、状況を説明させることです。

その時には、「自分がルールを破ったから携帯電話を没収される」ということを

ちゃんと電話を通じて保護者に言わせましょう。

本音でどう思っていても、少なくとも教員の前では自分が悪いと言うはずです。

そして、これによって、保護者が学校に牙を向く可能性は半減すると思います。

何故か。

それは「悪いのは子どもで、保護者ではない」という文脈で話が進むからです。

カーネギーの名著『人を動かす』によると、人間は責められると反撃します。

保護者も同じです。

没収されたという事実だけ伝わり、そしてそれを子どもが不満全開で親に愚痴ると、

「子どもだけではなく、私たちも学校から悪く思われているに違いない」

という状態になります。

自分も責められる対象となれば、子どもの話から少しでも相手の粗探しをして、

自分の立場を回復させたいと思うはずです。

(それが「携帯電話料金の日割り請求する」行為につながったのでしょう。)


ですが、子どもから「自分がルールを破った」という言葉が出れば、

「責任は全て子どもにあって保護者にはない」という文脈になります。

自分のプライドが傷つかなければ、謝罪の言葉は簡単に出てきます。

それが円満解決につながる秘訣だと思います。

そして、もし待ち合わせやお迎えがあるなら、その場で決めてもらいます。

これで保護者にも、子どもが携帯電話を持っていない状況が伝わるので、

「安全だと思ったのに安全ではなかった」という空白の時間はなくなります。


可能であれば最後に教員も電話を少し代わってもらって、だめ押しをします。

「教員の○○です。お母様でいらっしゃいますか?

 この度はお子さんが携帯電話を持って歩いているのを見つけまして。

 お母様もご存知の通り、携帯は学校で禁止されていますので、

 本人への指導の意味を込めて、私の方で預からせてもらいます。

 また生徒指導の方から話があると思いますが、本人の成長のため

 お力を貸して頂ければと思っておりますので、よろしくお願いします。」


ここまで言えば、
 
<教員 v.s. 子ども・保護者>ではなく、

<教員・保護者v.s.子ども>という形が伝わります。

良かったら皆さんもこの方法を使ってみてください。


生徒指導だけではなくて学習指導でもそうですが、

保護者を責めるような状況に置くことは、どんな場合に置いても得策ではないです。

これはストラテジーとして言っている部分もありますが、それだけではなくて、

「親と教員が一緒に協力して子どもを育てて行く」

という気持ちを本当に僕は大切にしています。


お読みいただき、ありがとうございました。

あと二回で今の学年の六年間の授業が終わります。

短かったようで、振り返れば長かったですね。

 

burwonderwall at 06:10|PermalinkComments(0)

2016年01月25日

不登校生徒との付き合い

今日は思い出語りを。


僕の勤める中高一貫校では、中学から高校に上がるとき、


よっぽど悪い成績がつかなければ進学できます。

しかし、中には進学をあきらめる生徒もいます。

それが、不登校の生徒です。


僕は今の高3が中1に時に副担任、中2で担任を持つことになりました。

初めての担任業ということで、嬉しさと気恥ずかしさが入り混じった気持ちで


生徒と過ごしていました。


中3でも担任となりましたが、その時に大きな問題がクラスでおきました。

生徒が不登校になったのです。


家庭の事情と学校での友人関係が彼にとって大きな重圧となってしまったようです。


保護者の方とはそれまでの面談でそれなりに良好な関係を築いていましたが、


不登校となったあたりでは、やはり私に対しての不信感を持っていました。


その後、家庭訪問という形で何度か家にお邪魔し、色々な話をしました。


一人の生徒と個人的に深く関わったのは、これが初めての経験でした。


その後、時間を置いたことで彼も何とか少しずつ立ち直り、


保健室まで来てくれるようになりました。


もともと人気者だった彼と話しに、他の生徒もよく保健室に通っていたようです。


中3の夏休みを過ぎたとき、彼はこう言いました。


「この学校の先生たちは好きだし、友達もたくさんいる。

けど、他の学校でやり直してみようと思います。」

彼の決心を聞いて、公立学校の入試対策を一緒に始めました。


もともと学力の高い子なので、そんなに心配はしていませんでしたが、


入試の合格発表を一緒に保健室で見たときはさすがに緊張しました。


見事地元の公立高校に合格し、彼は旅立ってゆきました。


保護者の方も涙を浮かべてお礼を言われました。


その後も、彼とはメールをときどきやり取りし、近況を教えてくれます。


人生なので、もちろん「順風満帆」にはいきませんが、


「いろいろあったけど、決断してこれてよかったです」

というメールをもらったとき、


「これでよかったんだな」と、やっと思えました。


(彼の卒業後の詳細については別記事(教師冥利とライバル心)に書いてます。)



高校一年生の担任のときには元々不登校気味だった生徒の担任になり、


彼も途中で転学していきましたが、今年の文化祭で僕に会いに来てくれました。


彼も、「今がすごく楽しいです」と言ってくれています。



もちろんそれは僕の中でも数少ない「成功例」であって、


生徒との関係がうまくいかず、学年主任に対応を任せたこともあります。



でも、多分それって仕方ないことだと思うんです。


人間同士の付き合いは、マニュアルとかHow toでは語れないと思います。


気が合う人もいれば、気が合わない人もいる。


僕たちができることは、「僕が何とかする」ことではなくて、


「何とかできる人を一緒に探す」ことだと思うんです。


それがもし自分であればありがたい話ですが、そうでないことの方が圧倒的に多い。


だから、学年主任の方が話しやすいのであれば、そちらに任せたほうがいい。


他の学校の方で過ごす方が気楽であれば、そうした方がいい。



僕のこういう意見を、ただの責任転嫁だと思う人もいるかもしれません。


僕自身、そう思って悩んだこともあります。


でも、今でも彼らが連絡をくれたり、姿を見せたりしてくれるのは、


きっと僕がそういったことを「他人任せ」にできたからだと思います。


僕は、彼ら自身に決断を任せました。


一人の人間として彼らとじっくり話はしましたが、最後の決断は任せました。


僕が、「担任としての責任」という名のもとに彼らを無理やりでも縛り付けていたら、


今の関係はなかったと思います。



そして、この僕の考え方も決してマニュアルではありません。


彼ら二人は、本当に学校に行きたかった、友達と普通に過ごしたかったけど、


身体がそれを許してくれなかった生徒たちです。


「不登校」と呼ばれる子たちの中には、怠け心からそうなる子どももいると思います。


保護者や教員を困らせようと思って、「不登校」になる子どももいます。


一人ひとりの子供たちが、どういった理由で不登校なのか。


それを見極めることが、教員の一番大事な仕事だと思います。



不登校の生徒がクラスに一人いると、疲労感は倍増します。


それを全て自分で抱え込まず、「他人任せ」に出来る部分はそうしていきましょう。


他の先生が自分に「他人任せ」にしてくれたら相性が良いことだってあるわけですから、

仕事の押し付けだと思わず、教員同士で助け合っていければと思います。
 



burwonderwall at 23:26|PermalinkComments(0)