2022年03月14日
【英語教育・読んだ本】「明日からの指導に活かす『意味順』英語指導」を読んでまた中1を教えたくなりました!
先日お世話になっている他校の先生から本を薦めていただきました。
「明日からの指導に活かす『意味順』英語指導」
なかなか学びの多い本でしたので、レビューしたいと思います!
「明日からの指導に活かす『意味順』英語指導」
なかなか学びの多い本でしたので、レビューしたいと思います!
「意味順」とありますが、要は初学者のために英語(SVO)と日本語(SOV)の文構造の違いを明示的にして分かりやすく提示する、というのが大きなコンセプトだと理解しました。
具体的な指導としてはシンプルで以下の紙を用意して黒板に貼り付けます。
そして、これを見ながら生徒は英作文をすることで、「正しい」英文がかけるわけです。
この本はオムニバス形式で、色々な方が意味順に関する知見や実践例を持ち寄ったものになっています。
大学教授も多く関わっておられて、英語学的な視点からの分析もありましたが、やはり現場の実践例が興味深く読めました。
本書では中学担当の奥住先生、高校担当の藤木先生の実践例が分かりやすく、かつ興味深くて、実際に指導した場合のイメージがつかみやすかったです。
関係代名詞や分詞を使用した場合の「意味順」の分析の仕方も細かく書かれており(当初そういう「ツッコミ」が多くあったんだろうなと推察しました)、例外を極力減らそうという姿勢にも好感が持てます。
僕がやるとしたら、やはり黒板やプリントに
を貼り付けて、英作文ではなく整序英作文を大量にさせます。余裕があれば英作文もするかもしれませんが、とにかく整序英作文です。
というのは、語の並びを徹底させるというのがこの指導法の肝だと思うので、英作文で時制や冠詞という別のファクターを出す前にどんどん解かせて勢いにのせて、英語の語順を一日でも早く身に付けさせたいからです。
だから先ほどの、関係代名詞の分析などについてのツッコミは正直「揚げ足取り」だと思います。
本書では、この「意味順」という枠組みはあくまで生徒が自立できるようになるための補助輪のようなものであるという主旨のことが書かれていました。
補助輪が必要なのは子供用自転車だけで、それを大人用の軽快車にくっつける必要はなありません。
関係代名詞が出てくるまでに補助輪は外れてないといけないし、仮に外れてないとしたらそもそも「意味順」の指導自体に意味がないという可能性すらあります。
これまでの英語教育において語順については「習うより慣れよ」で、辛うじて5文型が助けになる程度でしたがそれも生徒それぞれの抽象的な理解度に依存してしまっていて、一定数理解できない生徒が教室で生まれていました。
ですが、この意味順指導は5文型を前面に押し出すことが難しい中1であっても抵抗感なく受け入れることができるし、その後の5文型の指導にもつながると思いますので、僕もやってみようと思います。
ただ、一つだけ感じている難点は、第4文型から第3文型に書き換えたときによくある英文についてです。
例を挙げます。
完璧です。特に【だれ/なに】のボックスにher / a ringがきれいに入り、気がつけば第4文型の英文ができています。
ですが、第3文型だとどうなるでしょうか。似たような文を挙げます。
I gave the ring to Mary at a restautant yesterday.
この文だと【だれ/なに】にはthe ringのみが入り、to Maryは次の【どこ】のボックスに入れることになりますが、Maryという明らかに人を指す名詞を【だれ/なに】のボックスに入れない、という選択が中学生にできる気がしません。
「前置詞がくっつくと【だれ/なに】ボックスには入れない」、と教えこめば解決するかもしれません。
ですがそれだと5文型の指導と似通ってきてしまい、語順の直感的な理解を売りにする意味順指導の良さを損ないかねません。
個人的には前置詞+名詞をくくり出すトレーニングが肝になるかと思いますが、この点さえ乗り越えられれば「意味順」は英語が苦手な生徒にとって非常に強力なサポートになります。
先日6年教えた高3が卒業したばかりですが、この本を読んでまた中1から教えたくなりました(笑)
ということで、中学生や英語の語順が覚束ない生徒を教える先生にはとても役立つ本です!ご興味あれば是非どうぞ!
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具体的な指導としてはシンプルで以下の紙を用意して黒板に貼り付けます。
だれが・する/です・だれ/なに・どこ・いつ
そして、これを見ながら生徒は英作文をすることで、「正しい」英文がかけるわけです。
この本はオムニバス形式で、色々な方が意味順に関する知見や実践例を持ち寄ったものになっています。
大学教授も多く関わっておられて、英語学的な視点からの分析もありましたが、やはり現場の実践例が興味深く読めました。
本書では中学担当の奥住先生、高校担当の藤木先生の実践例が分かりやすく、かつ興味深くて、実際に指導した場合のイメージがつかみやすかったです。
関係代名詞や分詞を使用した場合の「意味順」の分析の仕方も細かく書かれており(当初そういう「ツッコミ」が多くあったんだろうなと推察しました)、例外を極力減らそうという姿勢にも好感が持てます。
僕がやるとしたら、やはり黒板やプリントに
だれが・する/です・だれ/なに・どこ・いつ
を貼り付けて、英作文ではなく整序英作文を大量にさせます。余裕があれば英作文もするかもしれませんが、とにかく整序英作文です。
というのは、語の並びを徹底させるというのがこの指導法の肝だと思うので、英作文で時制や冠詞という別のファクターを出す前にどんどん解かせて勢いにのせて、英語の語順を一日でも早く身に付けさせたいからです。
だから先ほどの、関係代名詞の分析などについてのツッコミは正直「揚げ足取り」だと思います。
本書では、この「意味順」という枠組みはあくまで生徒が自立できるようになるための補助輪のようなものであるという主旨のことが書かれていました。
補助輪が必要なのは子供用自転車だけで、それを大人用の軽快車にくっつける必要はなありません。
関係代名詞が出てくるまでに補助輪は外れてないといけないし、仮に外れてないとしたらそもそも「意味順」の指導自体に意味がないという可能性すらあります。
これまでの英語教育において語順については「習うより慣れよ」で、辛うじて5文型が助けになる程度でしたがそれも生徒それぞれの抽象的な理解度に依存してしまっていて、一定数理解できない生徒が教室で生まれていました。
ですが、この意味順指導は5文型を前面に押し出すことが難しい中1であっても抵抗感なく受け入れることができるし、その後の5文型の指導にもつながると思いますので、僕もやってみようと思います。
ただ、一つだけ感じている難点は、第4文型から第3文型に書き換えたときによくある英文についてです。
例を挙げます。
だれが・する/です・だれ/なに・どこ・いつI gave her a ring at a restautant yesterday.
完璧です。特に【だれ/なに】のボックスにher / a ringがきれいに入り、気がつけば第4文型の英文ができています。
ですが、第3文型だとどうなるでしょうか。似たような文を挙げます。
I gave the ring to Mary at a restautant yesterday.
この文だと【だれ/なに】にはthe ringのみが入り、to Maryは次の【どこ】のボックスに入れることになりますが、Maryという明らかに人を指す名詞を【だれ/なに】のボックスに入れない、という選択が中学生にできる気がしません。
「前置詞がくっつくと【だれ/なに】ボックスには入れない」、と教えこめば解決するかもしれません。
ですがそれだと5文型の指導と似通ってきてしまい、語順の直感的な理解を売りにする意味順指導の良さを損ないかねません。
個人的には前置詞+名詞をくくり出すトレーニングが肝になるかと思いますが、この点さえ乗り越えられれば「意味順」は英語が苦手な生徒にとって非常に強力なサポートになります。
先日6年教えた高3が卒業したばかりですが、この本を読んでまた中1から教えたくなりました(笑)
ということで、中学生や英語の語順が覚束ない生徒を教える先生にはとても役立つ本です!ご興味あれば是非どうぞ!
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