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2020年09月19日

【科学×英語教育】現役合格を優先して志望を下げてしまう「現在バイアス」に打ち勝たせる方法

僕が今担任をしているのが高2なんですが、面談で進路について話をすると、大体どの生徒も「置きに行く」選択ではなくて「攻め」の姿勢なので、最後まで諦めずに頑張って欲しいなと思っています。


ですが、高3になって浪人生と同じ模試を受けるようになるとなかなか思うような結果が出なくなります。


冬まで耐えて頑張り続ければ浪人生を追い抜いて成績は上がってくるのですが、そこまで耐えきれずに志望を下げてしまう子はどうしてもいます。


問題は、志望を下げただけなのに何となく楽になった気がして勉強への熱量が落ちてしまうことです。


結果ズルズルと志望が下がり続け、気がつけばたいして魅力も感じてない大学の合格通知をもらって、「あれ?」と気がつきます。

「本当にここに行きたかったんだっけ?」


そうやって迷いを感じるようなことになるといつか後悔に変わります。


今回はそうやって志望を落とすことにつながる大きな要因である「現在バイアス」と、それに対抗する手段を書いていきます。




現在バイアス


人間には「現在バイアス」という、「後の大きな楽しみよりも今の小さな楽しみを優先してしまう」バイアスがあります。


有名な実験は「マシュマロテスト」ですね。


四歳児を対象に、「今目の前にある1つのマシュマロを取る」か「15分我慢して2つのマシュマロを取る」かを選択させるテストです。


普通に考えれば我慢した方が得なんですが、先ほど述べた現在バイアスが判断を狂わせます。


結果、「今目の前にある美味しそうなマシュマロ」を食べる誘惑に負けてしまう子が多いのです。

(ちなみにマシュマロテストをクリアできた子はセルフコントロールができるということで、将来的に成功できる可能性が高いそうです。)


そして同じことが生徒の志望校にも言えます。


「我慢して勉強して行きたい大学に行った方がいいのは分かっているが、浪人する可能性もある。

でも志望を下げれば現役合格できる可能性はあがり、すぐに大学生活を謳歌できる。」


もしこのように現在バイアスにとらわれて目の前の「現役合格」を過大評価してしまえばいつか後悔する日が来るでしょう。


(念のため確認ですが、志望を下げること自体は悪いことではありません。叶わない夢にとらわれて時間を無駄にするより、現実的な判断をして次のステップで労力を注ぐ方が人生的には遥かに有益です。問題は「現実的な判断」をしているつもりが、実は「バイアスに狂わされた判断」をしている可能性があるということです。)


では、生徒たちはどうしたらこの現在バイアスから抜け出せるのでしょうか。


僕の結論は、この現在バイアスに「サンクコストバイアス」という別のバイアスをぶつけることです。


サンクコストバイアス


「サンク(sunk)コスト」とは「埋没費用」と訳され、「もうすでに使ってしまったお金や時間や労力」のことです。


サンクコストが発生すると、それを無駄にするような意思決定をするときに「勿体ない」と思って決断ができなくなります。


これがサンクコストバイアスです。


分かりやすい例だと、ギャンブルですね。


負けが続くと「そろそろ勝てるはず」「今やめたら使ったお金と時間が戻らない」と思ってギャンブルから降りられなくなり、結果さらにお金と時間を使ってしまうのがサンクコストバイアスのせいです。


別名「コンコルド効果」とも言い、コンコルドという旅客機の開発中の早い段階から「元が取れない」ことが分かっていたにもかかわらず、既に投資した開発費を捨てきれなくてさらにお金をつぎ込んでしまい、結果債務が数兆円にまで膨れ上がったことが由来です。


もし生徒が志望校に向けて何かしら努力を始めてサンクコストバイアスが生まれていれば、現在バイアスと打ち消しあうことで判断の歪みから逃れることができそうです。


サンクコストバイアスをどう生み出すか


具体的には、生徒と一緒に志望校に向けて対策を取っていきます。


僕の学校だと東大を志望する生徒が一定数いるので、この2学期から放課後に東大対策の補習を組んでいます。


他のやり方としては、冬休みや春休みに志望校の過去問を自分で解かせるとか、高3になって最新版の過去問集が出たらすぐに買わせるとかですかね。


生徒に何かしらの労力や時間を使わせることでサンクコストが生まれます。


「今諦めたらもったいない」とまで思えたら、やっと現在バイアスと対峙することができます。


後悔の少ない人生を


僕自身が自分の進路選択で早々に見切りをつけてしまった経験者なので、今でも時折ふと
「たられば」を考えることがあります。

(でも結果的にこの人生で良かったとは思ってますけど。)


大学選びというのが恐らく生徒の人生における最初の大きな判断となるでしょうし、当然高校生では見えてないことも多くあるはずです。


それでも彼らがなるべく後悔することがないように、出来ることはしたいものです。


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burwonderwall at 14:04│Comments(0)科学×英語教育 

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