【休校措置】学習効率が上がる、すぐに実行できるオンライン授業の受け方【徒然・教育哲学】進学校の英語教員ですけど、宿題は嫌ならやらなくてもいい。覚悟があるなら。

2020年05月17日

【徒然】9月入学の意義が本当に分からないのでどなたか教えて下さい。

ここ数日、9月入学の議論が取り沙汰されるようになっています。

本日のニュースによると、来年の9月に今の年長児+4月~8月生まれの年中児を一律で小学校一年生に上げるという案が出ているそうです。


で、残念なことに僕の娘は幼稚園の年中で6月生まれです。

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(2歳頃の娘です。はい、かわいい。笑)

元々この案に反対でしたが実害も出そうなので、9月入学を是とする方々にそのメリットを本気で教えて頂きたいので一本書きます。


僕が調べた限り、9月入学のメリットは大きく以下の3つでした。 

欧米各国と卒入学時期がそろうため、教育のグローバル化が進展する
真冬の受験期による感染症、大雪等による交通障害などを避けることができる
休校による教育課程・学校生活の遅れや空白を取り戻せる

(こちらから引用しました。)

では、一つずつご教示頂きたく存じます。

①教育のグローバル化という観点

まず、これには欧米から学生を受け入れたいのか、あるいは日本人に欧米の大学に進学させたいのか、という二つの方向があります。

「欧米から学生を受け入れたい」という発想は自然だと思います。

少子化による学力低下が進んでいる以上、分母を増やすという選択肢は魅力的でしょう。

事実アメリカはOECDによる学習到達度調査(PISA)ではアジアの後塵を拝し、お世辞にも教育が機能しているとは言えません。

しかし、現実にアメリカから多くの新しい概念、製品、ユニコーン企業が誕生しています。

それは、アメリカが研究にお金をかけるから
、世界中の優秀な人たちが「ハーバード、スタンフォード、MITで学びたい」と思って渡米するからです。

翻って日本はどうでしょうか?

9月入学だからと言って、「是非日本で学びたい」と思う優秀な人がいるでしょうか?

科学分野でノーベル賞を受賞した日本人研究者は皆、「基礎研究の重要性」を説いていたことは記憶に新しいはずです。

また、文系を軽んじるような政治的発言などもこれまで何度も目にしてきました。

残念ながら日本は「すぐに金にならないことには価値がない」と断ずる研究後進国だということです。


日本の最高学府東大ですら、世界36位。


アジアでも13位です。


で、改めてお聞きしたいのは、9月入学にすれば本当に海外から優秀な人がドンドン入ってきて、日本の学術レベルを引き上げてくれるんでしょうか?

その前に、もっと国は金を出すべきです。変なマスク配る前に。


次に、「日本から欧米の大学に行かせたい」というパターンですが、これはつまり優秀な日本人を欧米に差し上げたいという理解でよろしいでしょうか?

確かに海外の大学に進学したのち、日本に戻ってくる人もいるでしょう。

しかし研究者として第一線で働ける人たちが、(OISTのような一部特殊な環境を除いて)わざわざ日本という研究環境を選ぶでしょうか?

中国も優秀な人たちをどんどんアメリカに送り出すことをやっていますが、やはり優秀な人ほど戻ってこないそうです。


結局どちらも、世界から見て日本の大学に魅力がない以上、国として9月入学の恩恵はないと思いますが、どうなんでしょうか?


②受験期の感染症、大雪の交通リスクという観点

感染症ってインフルエンザのことですかね?
予防接種を打ちましょう。

コロナは東南アジアでも流行しています。

よって夏だから大丈夫という論拠になりません。


天候による交通リスク。

まず、温暖化の影響で海水の蒸発量が増えるので、確かに今後大雪の日は増えていきます。

でも、それは夏の大雨や台風が増えるのと同じ話です。

実際災害クラスの気象事例は7月~9月に集中しています

で、何で夏に受験期を移動したらリスクが減るんですか??


③休校による遅れを取り戻すという観点


勉強に関しては確かに遅れがあるかもしれません。

で、もしこの冬以降にまたコロナが広がったとしたら、さらに半年繰り下げて4月に戻すってことですか?

結局、文科省がオンライン教育を導入するわけでもなく、教員の仕事量を調整してゆとりを持たせるわけでもなく、カリキュラムを見直すでもなく、ただただスライドさせる。

これは正直ただの無策と言ってもよいのでは?

もう一点。

「学校生活の空白を取り戻す。」

確かに部活ではインターハイがなくなり、僕もその点に関してかなりショックを受けました。

でも、彼らのために9月入学にするということは、僕の娘が本来年長で経験できるはずだったクリスマス会や、友達との宿泊体験を犠牲にしろっていうことでしょうか?

その上4月生まれと3月生まれの間でも低学年時には学力差が心配されてますが、それを4ヶ月も拡大して更に学力差をつけることになり、劣等コンプレックスを持つ子が増えるでしょうが、この点でも僕の娘は犠牲にならないといけないんでしょうか?

(いとこに一つ上の男の子がいますが、知識でも運動能力でも同学年として太刀打ちできるとは到底思えません。)

ある人たちを救うために、別の人を犠牲にする。これをもし解決法と呼ぶのだとしたら、絶望的に想像力がない人だと思います。僕はね。


結局、「①を進めたいがために、後付けで②や③の論理(になってない論理)で無理やり塗り固めている」というのが僕の見立てです。


よってコロナの流行と、9月入学には全く関係がない、というのが結論ですが、「そうではない」ということがあれば是非教えて下さい。


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burwonderwall at 18:37│Comments(2)徒然(日常) 

この記事へのコメント

1. Posted by Ransom   2020年05月17日 19:25
いつも記事を楽しく、興味深いと思いながら拝見させて頂いております。恐縮ながら読んでいて変換ミスを発見致しましたので、指摘しようかと思いコメントさせていただきました。②受験期の感染症、大雪の交通リスクという観点第3行目の東南アジアという単語の漢字で変換ミスがあります。多分一番最初に私が投稿主のブログを読んだと思いますので、なるべく早く言ったほうがいいと思いコメントさせていただきました。これからも拝見させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
2. Posted by wonderwall   2020年05月17日 19:37
Ransom様
ご指摘ありがとうございます。
確認したところ、ひどい変換ミスでした(笑)
本当に助かりました。

いつも読んで頂けてうれしいです。
これからもなるべく時間泥棒にならないような記事を書いていけるように頑張りますので、よろしくお願いいたします!

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