2019年06月16日
【教育哲学】教育実習生がやってしまいがちなダメな授業
ちょうど今教育実習で前に6年教えた生徒たちが大学4年生となって戻ってきています。
残念ながら英語科の実習生はいないのですが、授業見学ということで僕の授業を見に来たりしています。「今僕が教えている生徒」を「以前僕が教えた生徒が見ている」というのはなんだか不思議な感じですが、彼らが今の僕の授業を見て「自分たちのときと同じことをやっている」という感想と、「自分たちのときとやり方が変わっている」という感想の両方を持ってもらえたらいいなあと思っています。
さて、今日は教育実習生が気を付けるべき大切なことについて、僕の経験を基に考えていきます。
大切なこと:形を整えるのではなく、なぜその形になるのかを考え抜く
恐らく教育実習生が最も陥りやすいのが、「とりあえず授業ぽい授業をする」ということです。
自分がこれまで受けてきた授業を頭の中に描き、そしてそれと同じような流れで授業を進めていくということですが、僕が教育実習中に書いた最初の指導案がまさにこんな感じでした。高校生の教材でなんとなく新出単語を発音して、本文のCDを聞かせ、そして内容読解をしていく…といった内容でしたが、当時広大附属福山で担当して指導して下さった山岡大基先生から「何のためにこれやるの?」「何でこのタイミングでやるの?」と一つ一つ尋ねられました。
そうすると、自分が無自覚的に「英語の授業っぽい授業をしようとしていた」ことに気がつきました。
例えば新出単語一つにしても、色々とゴールがあります。
①自分で正しく発音できる
②読んだら分かるように意味を覚える
③聞いたら分かるように意味を覚える
④自分の表現として使える
この中のどれをゴールにするかで活動は変わってきます。
活動
①…発音記号の読み方を教え、新出単語の発音記号だけを板書してどの語か探させたり、ペアでアクセントの場所のチェックをさせる。
②…覚える時間を取り、小テストなどで意味を確認する。
③…教員かペアが単語を読み上げ、一秒以内に意味を答えさせる。
④…新出単語を使って口頭や筆記で英作文を作らせる。
だけど僕のような実習生は先述した通り活動ありきで授業を作ってしまいがちです。
「何のために」「何でこのタイミングで」を常に自問自答することをオススメします。
あと懐かしい記憶としては、教材研究で「読解発問を100個考えてくる」とかやりましたね。玉石混交でいいのでとりあえず頭を振り絞って考える、という山岡先生の指示でしたが、これも本当にためになりました。
高1の教科書1レッスンの1セクションからなので、200語前後のテキストから発問を100個考えることになります。
そうすると大体50個くらいで文法的に問える限界が来て、そこからはテキストとの格闘になります。
本文には明示されてないけど、登場人物のある行為の背景に隠れている感情、論説文であれば抽象的な一文に対しての具体例を考えさせるとか、そういった色々な次元の発問を考えるということを肌感覚で教わりました。
いや、実習は本当にきつかったですけどね(笑)平日は毎日2時間睡眠だったし。
前回の記事でも少し登場した、外資系のコンサルで働いている友人も教育実習中に同じ班で山岡先生から指導を受けたんですが、今でも「大体の仕事よりあの時の山岡先生の指導の方がきつい」とか言って笑ってます。(笑)
ちなみに、僕が実習生を指導するときに心掛けているのは「教職を誰でもできる楽な仕事だと思わせない」ために、実習生が将来教員になろうがなるまいが、突っ込みどころには
プロとしてガンガン突っ込みを入れます。
嫌な指導教員だとは思いますが、「笑顔で楽しかった教育実習」なんてものは、その人の人生に何も残さないと思うので。
嫌な指導教員だということは自覚してます(笑)