2019年01月17日
【英語教育】試験の追試をする際にボーダーラインを事前に高く設定するメリット②
1.生徒が平均点を気にしなくなる
テストを返すときに気になるのが、「やべー、出来んかった。でも平均あるからいっか!」というあるある発言です。
平均点≠中央値なので、順位的に全体の半分以上というわけではないし、平均点にしろ中央値にしろ、結局は「他所(よそ)のこと」なので、自分の不勉強さは変わらないわけです。
で、追試のボーダーを平均点準拠にすると、それに加えて更に平均点を気にするようになります。もっと言えば、「周りの人間が自分よりも勉強しませんように、テストが出来ませんように」という「呪い」(内田樹さん的)を周囲にかけ続け、ますます自分の勉強に責任を取らなくなります。
だから、事前に越えるべきハードルを設けることで生徒を「相対評価」の呪縛から解き放ち、生徒は真摯に自分の勉強と向き合うようになります。僕の生徒たちは平均点が何点であっても、「8割なかった、追試だー!」とか叫んでます。(笑)
2.テストの精度が上がる
先に8割というボーダーを設けることで生徒もそれなりの覚悟を持って臨むようになりますが、教師としても覚悟が決まります。
ですが、闇雲に難しいテストを作ることは生徒の学力を伸ばすことにはならないと僕は思っています。努力と結果の間に必ず因果関係が存在することが定期テストで求められていて、点数が取れなかった生徒に対して何の勉強が不足していたかを説明できなければ、事前準備としてのテスト勉強もしてきません。
その上で僕は毎回、中央値(平均点ではない)が追試のボーダーになる意識で作っています。テスト問題は簡単に難しくなります。難しい問題を作る方が簡単で、教師としても達成感があるからです。
なので、こういうハードルがあると問題を難しくし過ぎないようなブレーキがかかります。結果として、多少なりとも生徒が悔しがるテストになっているのかなあと思います。
3.全体の学力の底上げにつながる
模試や入試で結果を出すためには、上位層・中位層・下位層のどこから焦点をあてるべきでしょうか。答えは中位層→下位層→上位層の順番です。学校にもよりますが、上位層は基本的に勉強に対してのモチベーションが高い人たちです。やり方をきちんと示してやれば自分たちで伸びていきます。
全体の分布として大事なのは中位層です。彼らが勉強に励んで上位層に食らいつくか、あるいは諦めて下位層に落ちるかで分布が大きく変わります。そして中央値がほぼ8割のテストで「天国と地獄」を味わうのが彼らになります。彼らが8割を目標に頑張ってくれるからこそ中位層は安心して見れるので、下位層向けに補習ができるのです。結果として全体が押し上げられ、「中央値>平均点」という良い分布が維持されます。
追試は大変ですが、合格テストのは9割にしてあるので、丸はつけずにバツだけつけるとか、マイナス10点を越えて合格の可能性が消えた時点で採点しないというルールを使えばサクサク進みます。
他にも追試についてはやり方がありますが、それは別の機会に。
以上、「試験の追試をする際にボーダーラインを事前に高く決めておくことのメリット」でした!