【英語教育】問題演習の甘い罠【英語教育】超ベテラン教員に教えてもらったテスト作りのコツ

2018年10月05日

【英語教育】中高一貫校の中学生に身につけさせたい力① 英語の語感

前回のエントリーで、問題演習だけでは本質的な力をつけないという話を書きました。

今回は、僕が考える「中学生のうちにつけさせるべき力」を書いてみます。

※書いてみたらすごく長くなったので一つずつに分割して記事にします。

では、どうぞっ。



①英語の語感

人間の脳は15歳前後で作りが変わり、15歳以前は暗記に強い脳で、それ以後は論理に強い脳になります。

帰納的脳から演繹的脳に変わると言い替えても良いかもしれません。

例えば幼い子供が、大人の言った何気ない一言を覚えていたり、CMのセリフを全部覚えていたりしますが、成長するにつれて出来なくなります。

その代わりに、それまでに蓄積した数多くの表現データから導きだしたルールを用いて、今まで見たことも聞いたこともない一文を産出できます。

「黄色い象は赤い滑り台から落ちて黒い虎になった。」は文法的には正しいけど、

「黄色い象は黒い虎に落ちて赤い滑り台になった」は、どこかおかしくないですか?

皆さんの「表現データそのもの」にこんな変な日本語はありませんが、皆さんの「表現データから導きだしたルール」と矛盾するから不自然さに気づくわけです。


さて、前置きが長くなりましたが、中学生というのはそういった脳の切り替えの過渡期にあたります。

もちろん個人差はありますが、中学生に教えるときに念頭に置くべきことは、「高校生にするのと同じ説明をしても、脳の発達上理解できない」可能性があるということです。

なので、文法的に色々と御託を並べずに「いいから覚えな」で済ますこともあります。

文法も教えますが、目的は覚える心理的なハードルを下げるためです。だから「細かいルールを掘り下げる説明」ではなく、多少不正確でも「聞いてわかった気にさせる説明」を心がけます。
(後日文法説明の仕方についても書いてみます)そしてターゲット文をディクテーションやら音読やら色々やって、最終的には覚えてもらいます。(このあたりも近々記事にしたいなあ。)

そうやって中学生の間に知識を蓄えていくと、「英語は何となく書けるし言えるけど、論理的になぜその表現をとるか説明はできない」という状態になります。

これって似てませんか?
僕たちが誤った日本語を見たときの感覚と。

それが語感なのです。
自分がパッと書いた英語を見て、「何か気持ち悪い」と思って見直したら時制がずれていた、とかいうのは語感のお陰です。

神戸大学の医学部に現役合格した教え子が家庭教師をしているのですが、この前職員室に来て、「答えは見たら分かるけど何でそうなるか説明が出来なくて困ってます、アハハ」と笑ってました。

教員や言語学者を育てるのなら文法には拘るべきですが、多くの生徒にとって文法理解は過程であって結果ではありません。

ルールは高校生になってから教えられますが、語感は育てるのに時間と労力がかかります。暗記を当たり前にするなら、何でも言うことを聞く中1のうちです(笑)

語感があれば、高校生になって文法を学び直すときに具体的な表現データが頭にあるので、理解度が変わってきます。

以上、「中高一貫校の中学生に身につけさせたい力① 英語の語感」でした!


burwonderwall at 21:15│Comments(0)

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